ありそうでなかった、小型でフレームのない、真鍮製の写真立です。デザイン自体は主張を廃し、とてもシンプルなのに、骨董のような風情で、重厚な静かさを湛えています。
縦置きでしか使えないのはデザイナーのこだわり。3箇所をばねで止め、一本の脚をパタンと開いて使います。
ガラスは、透明度と古風な色、小口を美しく見せるカットの角度を特注していたのですが、入手できなくなってしまいました。よって、現在(2024年)は生産休止となっています。
スマホの待ち受けなど、いつも側にいたい画像の置き場所は、いろいろな自由度が広がっています。けれど、心を支えてくれる本当に大切な写真は、リアルで飾るのも、とても良いものですよね。
「真鍮鋳物」の良さを知る
真鍮には、道具として何物にも代え難い、使いやすさと魅力があります。
第一の長所は、しっかりとした重量感が安心なこと。
第二には、お手入れがしやすいことです。
手で触り、時々、乾いた布や新聞紙をぐしゃぐしゃにしたもので磨く。
それだけで、使い込むほどに艶を増し、落ち着いた「良い味」に仕上がっていきます。
その秘密は、伝統工芸・高岡銅器伝統の、昔ながらの「色付け」の技法。
漆、米糠、植物、酒や酢、などを駆使して、火をコントロールしながら銅鋳物の表面で化学反応させて美しく色付けする技法は、先人たちが試行錯誤した研究成果が現在まで大切に伝わったものです。塗装とは異なり、金属そのものの質感と、二つとして同じ景色のない表情の豊かさが魅力です。
"具足シリーズ"のコンセプト
2007年発売開始の本シリーズ。
ここかしこのプロデューサーであるY2がデザインしました。
当時30代になりたてで、「仏具デザイン」の重責には大いに悩みました。
亡き大切な人に向き合うとき、私たちはたいてい、素直で素朴です。
感謝、報告、誓い、後悔、・・・いちいち言葉にせずとも、
お水を換えて、花を飾り、火を点け、お線香をたき、チーン、までの一連の動作で、忙しい毎日のアレコレを仏さまにアップデートして共有する。
とりわけ信心深くなくても、そのことはとても大切で、美しいものだと思います。
デザインにあたっては、道具そのものよりも、気持ちと動作の方が大事だなと思ってしまったものでした。
そんなわけで"具足シリーズ"は、百均のガラス瓶と並べても、骨董のお宝と合わせても、違和感なく「場」を作れるような存在を目指してデザインしました。
ほんの少しだけ、緊張感を持たせて。
飾り棚や窓辺にさりげなく置いたり、自分なりに、毎日の動作を無理なく省略するのもアリなのかなと思ったりもします。
「具足」とは、仏さまへのお供えに必要な道具のセットを示すことば。
三具足/五具足/七具足のように、奇数で揃えを表しますが、基本の三具足といえば、灯と、花と、香のためのものです。
「ちいさなお祈り場」
ここかしこは「ちいさなお祈り場」づくりを提唱しています。
仏さま編のスタイリングを、下記ページでお写真付きでご紹介しております。
(他に、神さま編があります)
ここかしこ的「ちいさなお祈り場」の作り方 ~仏さま編~
http://kokokashiko.jp/blog/inori/
Spec
幅7cm 高さ10cm 厚み1.5cm
素材: 真鍮
桐箱入り
備考
ご使用後は、よく乾燥させてください。
発送について
在庫有りの場合 |
ご注文日より3営業日以内に発送。 |
在庫無しの場合 |
ご注文日より3週間以内に発送。 |
つくる人
(株)灯華香
鋳造/二上
企画・デザイン/Y2
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